ビジネス: 2007年9月アーカイブ
「富を手にする10の戦略」
ジャック・キャンフィールド、マーク・ビクター・ハンセン、レス・ヘウィット
福岡佐智子 訳
たちばな出版(2003)
★★★★☆
「こころのチキンスープ」のジャック・キャンフィールド」とマーク・ビクター・ハンセンによる自己啓発本です。
日本語題は、際物っぽいですが、原題は、「The Power of Focus」つまり、集中することの威力、とでも訳すのでしょうか。1度目に読んだ時にも、参考になるところが多々あったのですが、今回、抜粋を作るために読み返して、本当に自己啓発のエッセンスだけを選んで考えた末に注意深く作られた本であると思いました。豊富な実話も「心のチキンスープ」みたいで、とても面白いです。
全10章からなります。
第1章 あなたの習慣が、あなたの将来を決める。
ここでは、「問題なのは1回の行為ではなく、習慣です」から「成功に至る習慣を身につけるのには時間がかかる」こと、「行動をひとつひとつ体系的に改善することによって、同時に自分のライフスタイル全般を飛躍的に改善することができます。」が述べられます。悪い習慣の見分け方や、改善の仕方が、実例をもって示されます。
第2章 手品でもいかさまでもない、フォーカスこそがすべて
この本の中心をなす章です。得意なものを見つけ、生れついた才能にフォーカスする。「どうでもいい仕事」はパーソナル・アシスタンスを雇ってやり過ごす。4つのDによる仕事の仕訳。1.断る、2.任せる、3、後回しにする、4.すぐにやる。
(会社勤めをしていたころには、オールマイティになることを求められて、苦しんでいましたが、そのうち、欠点を補うことに力を注ぐよりも、得意なことをさらに伸ばすことに注力したほうがいい、という結論に到りました。その考えは、バッキンガム&コフマンの「まず、ルールを破れ」で裏付けられましたが、今回、さらに、その具体的な方法を提案されたことになります。)
第3章 大きな設計図を描いているか?
1.目標設定のための10のチェックリストを使う。(3.詳細で数字の裏付けがある、5.挑戦しがいのあるエクサイティングなもの、9.人に貢献するものである)
2.マスタープランを作って目標に優先順位を付ける。
3.目標達成のためのアルバムを作る。(目標に関連した資料をスクラップする)
4.アイデアブックを使う。(思いついたこと、役に立つことを書き留める)
5.イメージを描き、考え、見直し、反省する。
6.メンターとマスターマインド・グループ(定期的に会合し、互いに支えあう)を開拓する。
7.「成功者のフォーカスシステム」を使って週ごとに進捗を確認する。
第4章 ほどよいバランスをとる
B−ALERT。
B:Blueprint「1日の青写真」前の晩か、当日朝、作る。
A:Action「行動」自分最大の結果をもたらす活動に集中。
L:Learning「学ぶ」朝、20-30分、読書する習慣を身につける。
E:(Exercise)「運動」健康に留意。
R:(Relaxing)「リラックス」充電。25分の昼寝等。定期的な休暇をとること。
T:(Thinking)「考える」1日の反省。失敗から学ぶ。
第5章 すばらしい人間関係を築く
「有害な人たちは避けること」
バフェット氏の投資するかどうかの判断(3つの質問)「私は彼らが好きか?」「彼らを信頼しているか?」「彼らを尊敬しているか?」
主たる顧客と「ウィン・ウィン」の哲学
第6章 自信は力である
やり残した仕事を片付ける
あなたの望むものはすべて恐怖の向こう側にあります。
自信を築くための6つの戦略
1.自分がうまくやり遂げたことを毎日思い起こす。
2.励ましになる伝記や自伝を読む。
3.感謝する
4.すぐれたサポート体制を築く
5.自分を励まして短期間の目標を達成する
6.毎週自分のために何かしてやる
スランプから抜け出す方法
1.自分が1人ではないことを確かめる
2.最高の業績を思い起こす
3.基本に戻る
第7章 自分の望むものを求める
求めよ、さらば与えられん
求めることによってビジネスを拡大させる7つの方法
1.情報を求める
2.取引を求める
3.推薦状を求める
4.ハイクラスの人の紹介を求める
5.追加の取引を求める
6.再交渉を求める
いかに求めるか
1.はっきりと求める
2.自信を持って求める
3.一貫して求める
4.創造的に求める
5.誠実に求める
第8章 一貫した頑固さを守る
人生には、やらなくてはいけないことは何ひとつない。
人生はすべて選択によって決まります。文字どおりすべてです。
未熟児で、小児マヒで生まれたウィルマ・ルドルフが家族の信念によってオリンピックの金メダリストになる逸話は感動的です。(人生の選択の例です)
やらなくてはいけないことはプレッシャーになり、自分で選択したことは前向きな力となる。
かしこく選べ!
2つのAの法則
Agreement(取り決め)とAccountability(責任)
真の誠実さの基本は、取り決めを守ることです。
第9章 断固とした行動をとる
ものごとを先延ばしにする習慣になっていませんか?
先延ばしの6つの理由
1.退屈している
2.仕事に圧倒されている
3.自信を失っている
4.自己評価が低い
5.心から楽しいとは言えない仕事をしている
6.簡単に気が散る、または全くの怠慢!
あなたを後押ししてくれる2つの法則
TA−DAの法則
1.考える(Think)
2.求める(Ask)
3.決断する(Decide)
4.実行する(Action)
問題解決の手引き
1.私が解決する問題は何か?
2.問題に向き合い、それと取り組む決心をする
3.わたしはどんな結果を望むか?
4.問題が解決されたらどう感じるか?一言で。
5.問題解決にはどんな情報が必要か?
6.自分にできることは何か?
7.他にどんなことが助けになるか?
8.具体的には、どんなアクションステップをとるべきか?
9.開始予定日と終了予定日
10.結果を見直し、祝おう!
第10章 目的をもって生きる
ガンに侵され、片足を失った、テリー・フォックスがカナダを走って横断したエピソードを理想として。
3つのキーポイント
1.目的は自分の天分の延長線上になくてはならない
2.確固たる決意を持つ
3.謙虚な姿勢を保つ
人生は短いです。今日からは世の中に貢献することにフォーカスしましょう。
「大逆転」
コンチネンタル航空−奇跡の復活
ゴードン・ベスーン/スコット・ヒューラー
日経BP社(1998)
FROM WORST TO FIRST(1998)
非常に面白い本である。帯からの言葉を引用してみよう。「憎み合う労使。乗客からは罵声の嵐。三度目の倒産の危機。リストラに怯える日々。こんなボロボロの会社を救おうと1人の男が立ち上がった。」立ち上がったのは、危機を救おうと強引にCEOになったゴードン・ベスーンである。この本はリーダーシップとは何かを教えてくれると同時に、私がいつも言っている「測定していないことは制御できない」の見本のような応用である。全てのリーダに薦めたい。
以下、抜粋である。
いままでのボスとは違う
私はこの十年間で十人目のCEOであり、次々と去っていった九人はいずれも、従業員をだまし、従業員から金を奪い、経営の失敗を従業員のせいにし、従業員に対してやってはいけないことをやり尽くしてきた。私は前の九人とは違うといっても、従業員がそう簡単に信じてくれるはずがない。従業員は馬鹿じゃない。見るところをちゃんと見ている。これまで何回もCEOは代わったが、いっこうに代わりばえがしなかった。トップが代わったぐらいで、ふらふらしている会社が急に元気になるはずがない。私も前の九人と同類だと、従業員は思っているに違いない。従業員からは、いやになるほど冷たい視線を浴びた。しかし考えてみれば、経験から学び、学んだことを生かして環境に適応していけるのは、いい従業員である。だから、コンチネンタルには、いい従業員が揃っていたのである。季節が巡るように経営陣が代わるコンチネンタルの環境に、みんな実によく適応していたのだから。
リーダーシップとチームワーク
象をどうやって食べればいいか。これは昔からある難問だが、答えはこうだ。一口ずつ食べる。だから、まずはがぶりと噛みつくしかない。食べはじめれば、食べる速度はどんどん上がる。
口先だけでなく実行
すばらしいアイデアはどこにでも転がっている。人並み以上に頭を使う人なら、実際にやっていることより、やりたいことのほうが多いはずだ。私だって、あなただって、アイデアはいくらでもある。仕事をしている世界中の人がそうだろう。コンチネンタルが息を吹き返すきっかけになったアイデアは、私が入社する前から、会社の中に息づいていた。いいアイデアを実際にどう生かすかが問題だったのだ。
フットボールを考えてみよう。得点を多く入れたほうが勝ちだということは、誰でも知っている。そして、ゴールラインの向こうに球を運べば得点になることを、誰でも知っている。しかし、知っているだけでは点は入らない。大事なのは、得点をあげるために選手一人ひとりが何をすべきかを考え、しっかりした作戦を立て、それを実行できる力をつけることだ。もちろん、選手のモチベーションをどう高めていくかも大きな問題だ。
お客さんの叛乱
だから私は言いたい。お客さんが欲しいと思うものを、お客さんに教えてやろうと思うなと。
CALライトは、発想が逆だった。どんなものが売れたらすばらしいかと考えることから生まれた商品だった。全席エコノミークラス、機内食なし、フライトは二時間半以内という構想が成功すれば、大きな問題を解決できるはずだった。苦戦している市場で突破口が見つかり、収益が上向くはずだった。しかし、いくら商品を売ろうとしても、その商品がいくら立派でも、お客さんが買ってくれなければどうしようもない。
結局、お客さんを追い払うことになり、利益が出るどころか、損失が膨らんでいった。
お客さんが行きたいところに、飛行機を飛ばす
コンチネンタルは取るに足らない市場でビッグ・プレーヤーになった。一部の人が重要と考える市場シェアで他社を寄せつけなかった。グリーンズボロ−グリーンビル線の市場シェアは、九十パーセントにも達していた。飛行機を飛ばせば飛ばすほど赤字は増えていったが、そんなことは問題ではなかった。ビジネス・スクールの卒業生は、市場シェアだけを気にしていたのだから。
グリーンズボロ−グリーンビル線を見ればわかるように、問題は市場シェアではない。どうやって利益をあげるかである。(評者注:サウスウエストのハーブ・ケレハーもまったく同じことを言っている。)
破産裁判所は会社を救ってくれない
愚行とは、同じことを何度も同じやり方で繰り返し、違う結果を期待することである、という定義がある。さて、この定義がコンチネンタルに当てはまるかどうか考えてみよう。一九九三年、更生手続きを終了して再スタートを切ったとき、コンチネンタルは盛大にパーティーを催して、浮かれ騒いだ。「バンザーイ。俺たちは破産しなかった。カンパーイ。」
そう、そのときは破産しなかった。破産しなかったから、問題が片づかなかった。だからこそ、グレッグが帳簿を洗いざらい調べたとき、私たちは破産の一歩手前にいたのである。破産裁判所は会社を救ってはくれない。延命処置はとってくれるかもしれないが、救ってはくれない。会社の人間にしか、会社は救えないのである。
何が起こっているか
財務の健全性を保つ秘訣は簡単である。いま何が起こっているかを知ること−−−それが第一歩。そして、起こっていることと知ることの時間差が縮まっていくほど、病気になる危険から遠ざかっていく。だから私たちは、財務に関して起こっていることすべてを、できるだけ早く把握するために、時間をかけ、お金をかけて、人を揃え、システムを整備したのである。
野球ではよく「ボールから目を離すな」という。私たちにとって、ボールというのは現金収支だった。現金を使い切ったら、ゲームは終わる(私たちはそのことを痛いほど思い知った)。お金はいま、いくらあるか、どこにあるか、昨日と比べ、先週と比べて、お金は増えているか、減っているか。そういう単純なことがすぐに正確にわからないようなら、経理の人間など会社にはいらない。
信頼性を現実に−−エアラインの本来の仕事を思い出す
谷底で死傷者を待つ救急車の話をしよう。
山の中腹に小さな町があり、麓からの道は曲がりくねっている。おそろしく危険なヘアピンカーブがあり、そこでは月に一台の割合で、車が谷底に転落している。
町議会はこの問題を放置するわけには行かず、道路のカーブを緩くし、注意を呼びかける標識を立て、ガードレールを設置するには、どれぐらいの予算が必要かを検討した。試算した結果、大変なお金がかかることがわかった。町の財政ではどうしようもない金額だった。しかし、車は毎月崖から落ち、死傷者があとを絶たない。なんとかしなければならない。そこで、もっと安上がりな方法を思いついた。
谷底に救急車を待機させることにしたのだ。
問題の解決を回避するために、人がいかに馬鹿馬鹿しいことを考えつくかという、お手本のような話である。私が入る前のコンチネンタル航空は、この手の発想が習い性になっていた。問題を解決するには、お金がかかりすぎる。だから、問題は解決できない、という考え方である。
恐れ入ったとはこのことだ。問題解決にはどれくらいのコストがかかるかを考える時には、別の問題も考えたほうがいい。道路を直すには、たしかに大変なコストがかかる。しかし、道路を直さなかった場合のコストはどう考えるのか。
上からの助け
それなら経営陣は遊んでいて、手柄だけ横取りするつもりなのか。
違う。経営陣の仕事は単純なものだと、私は思う。仕事ができる人間を雇い、必要な訓練を行い、必要な資源と支援を与えたら、あとは邪魔にならないようにそこをどく−−−それが経営陣の仕事だ。従業員が何か問題を抱えていたら、従業員が自分の仕事に集中できるよう、その問題の処理はこちらに任せろという。簡単にいえば、従業員にいい仕事をしてもらうために全力を尽くすのが、経営者の仕事である。
企業は人
会社の経営で直面する問題というのはすべて、人間の問題である。資金の問題、信頼性の問題、マーケティングの問題、どんな問題であろうと、正しいことをやらない人間がいるから問題が起こる。間違ったことをやるように、上司が指示している場合もあれば、問題を指摘すると厄介なことに巻き込まれると従業員が思っている場合もあるだろう。あるいは、無能な経営陣に愛想がつきて、従業員が問題解決の意欲を失っている場合もあるかもしれない。
いずれにせよ、仕事をするのは人間であり、人間が集まって会社ができている。だから、会社の中で発生する問題はすべて、その根っこを探していくと、人間に突き当たる。
企業文化の見直し
しかし、問題を解決しようとするとき、木を見て、森を見ない経営者、人間を見ることを忘れている経営者が多いように思う。つまり、従業員からどれだけ搾り取れるか、従業員をどれだけ効率的に使えるかを考える経営者は多いが、従業員が毎日どんな気持ちで出社してくるかを考える経営者は少ない。
「前進プラン」が軌道に乗るまで、コンチネンタルの従業員は毎朝、こう思いながら家を出ていた。何時に帰れるかはわからない(コンチネンタル機はひとたび飛び立てば、いつ、どこに着くかさっぱりわからなかったからだ)。きょうもまた、乗客にさんざん怒鳴られて、なすすべもなく、じっと我慢しなければいけない。やる気をなくした不機嫌な同僚と、また一日中、一緒に仕事をしなければいけない。そう思うと、仕事に向かう足取りは重かった。私はそれを知って、胸が痛んだ。そういう従業員を責めることはできない。だから、なによりもまず、毎朝、仕事に向かう足取りが少しでも軽くなる職場に、コンチネンタルを変えなくてはいけないと思った。
評論はしないが、注意は払う
みんなで力を合わせるということは、みんなで仲良く飲んで騒ぐことではないし、みんなにやさしくすることではないし、成り行きにまかせることでもない。ポイントは、一日中つきっきりであれこれ指示せず、あとでとやかく言わず、従業員を信頼して、現場の判断は現場に任せることにある。
結果を絶えず測定する
ポイントは、結果の測定をやめないことだ。会社がいまどこにいるかを教えてくれるデータはいくらでもある。大事なのは、そのデータから目を離さず、データが教えてくれることを信じることだ。
たった一言のアドバイス
友だちから、こんな話を聞いたことがある。いまは練達のハイカーだが、バックパック一つで初めて旅に出るときは、やはり不安だった。パッキングをしていると、次から次へと悪いことが頭をよぎる。それで、後悔しないよう、準備には万全を期すことにした。・・・しかし、世の中、すべてが計画とおりに行くとは限らず、一週間の道中で何が起こるかはわからない。それで、パーティーのリーダーを質問攻めにした。
リーダーははじめ、丁寧に答えていった。食料は余分に持っていくし、ひとりが足りなくなっても、みんなで分け合えばいい・・・・・・。寝袋が濡れたら、乾かせばいい・・・・・・。テントが破れたら、繕えばいい・・・・・・。ところがだんだんうんざりしてきて、しまいにはため息をついて、何も言わなくなった。そして、しばらく考えてから、次に言うアドバイスさえ守れば、必ず目的地にたどり着けるといった。
友人は息をのんで、そのアドバイスを待った。すべての問題を解決してくれる魔法のごときアドバイスを。
リーダーは言った。「止まるな」
アドバイスはたったこれだけだった。成功を続けたいと思うなら、成功するまでやっていたことを止めてはいけない。これは難しい。難しいが、それなしで成功の継続はありえない。
勝利にリーダーは不可欠
ポイントはこうだ。コーチは選手に何をして欲しいかを考えると同時に、どうすればそれをやってもらえるかを考えなければいけない。相手は血が通う人間であり、業務命令の紙ではない。コーチが試合に出て、選手の代わりにプレーすることはできない。パスもできなければ、ブロックもできない。コーチの仕事は何か。それは、選手にプレーさせることである。それを忘れてはいけない。
何のためのコミュニケーションか?
もちろん、それで終わりではない。そういうシステムが整ったあとも、従業員が情報を得やすい方法で、従業員が理解しやすい言葉で、すべてのことについて、コミュニケーションを図らなければいけない。何をすべきか従業員がわかっていないとしたら、それをやらなかったからといって、従業員を叱る資格は経営者にはない。経営者がある日、会社の目標を思いつき、退屈な幹部会議でその目標達成を指示し、あとは何もやらなかったら、従業員が目標達成のために何をやればいいのかわからなくても当然である。
目標と評価基準を明確にする
株主資本利益率などといった空虚な目標を掲げている会社は多い。こんな会社の経営者にぜひ、お聞きしたい。現場で働いている人たちが、株主資本利益率についてどう考えているというのか。たぶん、それが何を意味するのかさえ知らない人がほとんどだろう。わけのわからないものが目標になっているなら、努力のしようがない。会社の目標に自分はどう貢献できるのか、自分の仕事が業績にどう影響するのかを知っていなければ、仕事に熱は入らない。私たちが定時運行を目標に掲げ、オペレーションのあらゆる努力をその一点に集中しているのはそのためだ。定時運行の意味がわからない人はいないし、努力の結果は、定時到着率という数字になってはっきり現れる。だから何か新しいことをやろうという話が出たとき、問いかけることはただひとつ。定時運行にプラスになるかどうかだけである。
目標は達成可能なものでなければならない
目標は夢物語とは違う。達成が不可能なことを目標に掲げれば、従業員はしらけるだけである。逆に、現実的に目標を明確にすると、びっくりするような成果が出てくる。
コンチネンタルが定時運行のボーナスを出すようになると、雨後の筍のようにそれを真似する航空会社が出てきた。しかし、どこもコンチネンタルのようにはうまくいかなかった。なぜ?基本的なことを何もやらず−−整備の人間もまじえて運行ダイヤを考えることもせず、新しい仕事のやり方を従業員に説明することもなく、仕事に必要な道具を従業員に与えることもせず−−目標とボーナスを決めただけだったからだ。
誰の手柄か
前にも言ったように、多くの会社が犯しやすい間違いは二つある。ひとつは、間違ったことを測定すること。もうひとつは、正しいことを測定しながら、間違った人に報いることだ。
マイクロソフト シークレット (下)
マイケル・A・クスマノ/ルチャード・W・セルビー
山岡洋一 訳
日本経済新聞社(1995)
★★★★★
下巻からの抜粋です。
製品の開発と出荷のための5つの戦略
(1) いくつかのチームに分かれ、同時並行して仕事を進める。ただし、毎日「同期」をとり、デバッグを行う。
(2) 主要なプラットフォーム、主要な市場の全てに対応した各バージョンの製品を、理論的には常に出荷できる状態で用意しておく。
(3) 開発は一つの場所で行い、共通の言語を使用する。
(4) ビルド(ファイル化)のたびに、絶えず繰り返しテストを行う。
(5) 中間目標の達成、製品の出荷といった重要な決定を下す際に、数量データを利用する。
毎日のビルド―――チームの調整を保つ厳しいルール
毎日のビルドによって、プロジェクトがどのように進んでいるかを迅速に、チームにフィードバックできる。ウインドウズNTのソフト工学責任者、ロウ・ペラゾーリは、毎日のビルドを「苦労を伴うが実りも多いもの」と、とらえている。「毎日のビルドほどつらいものはない。しかし、これほど偉大なものもない。このため、すぐにフィードバックができるのだから。」。マイクロソフトには規則らしい規則はごくわずかしかないが、頻繁にビルドを行う規則は厳密に守っているプロジェクトが多い。
進捗状況を把握する
「仕様書作成、コーディング、テスト、保守」という局面を順次進めていく古い考え方では、完成までどれぐらいの段階にあるのかの判断が非常に難しくなる。プロジェクトの期間の80パーセントが、進捗度を80パーセントから100パーセントに引き上げるのにつかわれるケースが多いそこで、これとは違う中間目標プロセスを開発した。達成が少々難しい作業をいくつか選んで、それを中間目標までに100パーセント完成させる。この段階で、プロジェクトの進捗状況を見直す。…中間目標には、その段階で開発した機能だけで製品を出荷すると想定した場合、…製品として出荷するのに必要なこと全てをやる。…このプロセスを使っていれば、製品を完成させてから、出荷するまでの期間は極めて短くなる。…これで、すれジュールがはるかに立て易くなる。問題が起こった時は、プロセスの早い段階にわかる。…進捗状況をしっかりつかめる。
コードの半減期は短い
開発チームは常にソフトを書き直しており、一つのコードにこだわりすぎることはない。デーブ・ムーアによると、マイクロソフトでは、ソフトのコードの「半減期」は18ヶ月ほどだ。つまり、わづか18ヶ月ほどで、コードの半分が変更されたり、他と置き換えられたりしている。…クリス・ピーターズによると、再利用できるようにコードを書くことには余り重点を置いていない。コードがすぐに時代遅れになることがその理由だ。「再利用できるコードにするために時間を使っても、2年もすれば古くなっている。変化がそこまで早く、めまぐるしい世界で、どんなコードを再利用しようというのだ」
機能を変更するのは、2倍よくなる時
「OS/2は、何もかも変更しようとした。…10パーセントの改良のために、コードを完全に書き換えたが、10パーセントの改良ではユーザーは喜ばない。今では、製品の整合性を大切にする場合、2倍は改良されていなければ、違いは出てこないというのが、経験則になっている」クリス・ピーターズ
20パーセントの税金としてのコードの書き直し
製品を出荷できる状態にしておくことの別の面として、次のバージョンの発売までの間に、コードの書き直しに投資している(他の祖父と開発会社で行われている「保守」、「リエンジニアリング」の作業に似ているが、マイクロソフトで箱の作業のために独立したグループは作っていない)。開発責任者は、開発時間の20パーセントを製品の弱い部分を作り直すために当てるようにするべきだとされている。バージョン後とに確実にこれを実行していけば、製品の質は確実によくなっていく。
ビルドのたびに、絶えず繰り返してテストを行う
マイクロソフトのテストの方針を決める原則はいくつかあるが、いずれも、チームが開発と並行して絶えずテストを進められるようにするものだ。このように、開発と同時並行で絶えずテストを行う考え方は、マイクロソフト独自のものだ。ソフト会社の殆どは、開発サイクルの最後に集中してテストを行っているが、この時期にバグを処理するのは極めて難しく、時間がかかる。また、同社は製品のテストに当たって、幅広い視点を取るようになっている。
例えば、自動テスト・ツールを作成し、開発者はこれを使って、各自のコードを毎日テストできるほか、マスター・ソース・コードへの変更をチェックインする前には、必ずテストしなければならない。このテスト・ツールは、各製品のマクロ言語を使うか、キー入力を再現して自動的にテストをする。開発者は、バグを検出したり、特殊な条件をチェックするための特別なルーチンを入れた「デバッグ版」を作成し、更にコードをレビューして、コードを読むことによってエラーを探し出す。ユーザビリティ・テストでは、一般の消費者に依頼し、専用ラボで機能の使いやすさを評価する。また開発者とテスト担当者が一人づつ組むようにする(同社では、開発者一人に対して、ほぼ一人の割合でテスト担当者がいる)。テスト担当者は、まず仕様書を読み、早い段階でテスト・ケースとテスト戦略を準備する。…
テスト担当者が使う方法はいくつかある。一つは、体系化されたテスト・スクリプトを使う方法だ(「シナリオに基づくテスト」と呼ぶ)。スクリプトに従わず、製品を「壊す」ために考えられる限りの操作を試す「ゴリラ・テスト」もある。また、様々な人が参加してバグを探す「バグ・パーティ」を開く。更に、開発中の製品を自分たちで使い、初期バージョンを社内に配布し、数千本のベータ版を主なユーザに送る。これらは全て、製品を発売する前にバグを発見するためだ。
開発者中の製品の品質や効率を高めるために、開発者がデバッグコードを使う例は多い。小さな製品でも、合計で一万行のデバッグ・コードを組み込む場合がある。中でも重要なのは、メモリーとデータ構造のチェック、アサーション、検査版だ。
メモリーとデータ構造のチェック
「メモリーもチェック」ではプログラムが使用するか割り当てるメモリーを全て計算する。例えば、メモリーの自動検査でエラーが発生すると「MIF」(メモリーの完全性のエラー)というメッセージが表示される。これに煮た「データ構造のチェック」では、特別なルーチンを使って、製品のほぼあらゆるデータ構造の一貫性を確認する。これによって、プログラムがデータを正しく保存し、取り出しているかどうかを確認できる。
アサーション
きわめて一般的なデバッグ・コードに、「アサーション」がある。これは、ユーザーが入力するデータに関係なく、必ず結果が真になるはずの「if〜then」文を実行するテストだ。…「アサーションが極めて重要なのは、…コードを書く時に、グローバル状態を理解していなかったり、グローバル状態に関して何らかの想定があることが、バグのおおきな原因の一つになっているためだ。…グローバル状態について何かを想定する場合には、コードにアサーションを組み込む習慣をつけるようにしている。…アサーションを十分に使えば、バグをすぐに見つけられるようになる。」
ベータテスト
ウインドウズ3.1のデータは、ベータ・テストがいかに効果的であるかを示している。最終ベータによって、発売前に発見された全てのバグのうち、22パーセントが見つかっている。
数量データに基づく機能と製品の完成のチェックリスト
マイクロソフトのプロジェクトでは、数量データに基づくチェックリストを作成し、機能と製品が完成したかどうかを決定するために使っている。
エクセル5.0の数量的データに基づき出荷準備の完了を判断するチェックリスト
A.テストの完了
(1) 自動テストでエラーが発見されなかった。
(2) 手動でテストケースを実行した。
(3) マスター・ワークシート[製品の機能の概要がかかれている]できめられたテスト分野が、いづれも「完了した」とされている。
(4) 二人のテスト担当者による各分野の特別テストが完了している。
(5) すべてのバグを回帰テストし(2回以上の再テスト)、終了した。
(6) 最新の200個の重要度1と2のバグについて、再度回帰テストを行った。
(7) 製造部門に引き渡す出荷日の1ヶ月前に、セットアップと全てのコンポーネント(EXCEL.EXEを除く)が確定している。
(8) 評価の高い「ガッツ・フィール」調査の結果、テスト・グループは、出荷準備ができたと考えている。
B.バグの発見・処理データ
(1) バグ発見のペースが、ゼロ・バグ版(ZBR)まで鈍化傾向になり、ZBR以降は横ばいである。
(2) バグの重要度の分布が変化し、重要度3と4のバグの割合が増え、重要度1と2のバグの報告が減少し続けている。
(3) 最初のリリース候補(RC1)の「決定会議」(報告のあったバグを、現在のリリースで処理するか、次のリリースに持ち越すかについて、「処理」、「持ち越し」、「未定」に分類する会議)の後で、すべてのバグが報告され、バグが解決された際、バグの回帰テストで参考にする様々なコメントを、バグ・レポートに追加している。
(4) 製造開始日までの1週間に、テストを続けているが、「必ず処理しなければならない」バグが報告されていない。
事後分析
1980年代後半以降、マイクロソフトのプロジェクトのうち、半分から3分の2が事後分析レポートを書いており、レポートを書かなかったプロジェクトも、殆どが事後分析のための会議を開いている。事後分析レポートでは、驚くほど率直に自分たちの動きが批判されており、経営陣にまで配布されるレポートであることを考えると、なおさらそのその率直さに驚かされる。ビル・ゲイツすら、ワード、エクセルなどの大型の製品と、マルチメディアなどの新しい分野では、事後分析レポートを熱心に読んでいる。
「プロジェクトのスケジュールが不適切で、現実性を欠くスケジュールを守ろうとして圧力がかかったため、テスト過程の統一性が保てなくなった。スケジュールが非現実的であったため、出荷モードのテストが始まったのは11月であった。これが4月半ばまで続いた。つまり、テストに使った時間の40パーセントが出荷モード(6ヶ月)に費やされたことになる。疲労困憊したこの過程で、生産性が落ちたことに気づいた。…コード変更、コード1000行当たりのバグ数、コードの複雑さを示す数値等を現実的に見積もってスケジュールを立てていれば、出荷モードに移る前に、出荷モードに移る前に、後3ヶ月、組織立った徹底したテストを行えただろう。」マック・ワード4.0プロジェクトの事後分析より。
製品ではなく、プロセスに焦点を当てた事後分析
事後分析レポートは、問題を列挙していく点ではすばらしい成果を挙げてきたが、問題が起こった理由を分析し、どのような解決策がありうるかを考える点では、不十分なケースが少なくなかった。その上、同じグループで将来、同じ間違いを繰り返さないようにする方法も、別のプロジェクトの経験を組織的に学ぶ方法も確立されていなかった。ウイリアムズによれば、例えば、どのグループでも毎回のように、チームのメンバーが機能を次々の増やしていったために、スケジュールが管理できなくなったと事後分析レポートで指摘しているという。…私は、「測定していないものは管理できない」(デマルコ)という言葉が大好きだ。数量データばかりにこだわることはないし、あらゆる物を測定するべきだとも思わないが、これまで、様々な点を一貫して測定する点では、あまりいい仕事をしてこなかったように思う。例えば、開発者の1週間当たりのバグ数といったデータだ。…今、追及しているものの一つに、見積もりと現実の差の検討が甘すぎた点が挙げられる。特にスケジュールの遅れに甘すぎた。例えば、開発者が「多分、3週間でできる」といったとする。4週間半たって、「まだ終わっていないのか」と聞くと、「もう終わるところだ」という答えが返ってくる。そして、仕事が終わると、皆でその開発者のところへ行って、「よくやった」という。「3週間のはずが4週間半かかった。どうしてなんだ。何処に問題があったんだ。どんな問題にぶつかったんだ」とは、誰も聞かない。
マイクロソフト シークレット (上)
マイケル・A・クスマノ/ルチャード・W・セルビー
山岡洋一 訳
日本経済新聞社(1995)
★★★★★
マイクロソフトの内部を分析したものです。ソフト開発手法という点からも学ぶべきことがあります。
上巻から、印象にのこるインタビュー部分を書き抜きました。
マイクロソフトの幹部・社員へのインタビューによる調査、社外秘資料による同社の戦略、組織、開発プロセスを分析
した「マイクロソフト・シークレット」の概要を紹介致します。
ここでは開発プロセスに焦点をあてました。開発プロセス以外にもいろいろなアイディアの詰まった本ですので、
一読をお勧めします。
第1章 マイクロソフトの組織と管理
IBMには品質保証部門はあったが、規模はマイクロソフトには遠くおよばないし、独立した
立場から検査するという性格が強かった。IBMは対立をつくりだす経営法式を意図的にとっ
ていた。各部門がそれぞれ狭い立場から主張をするようにすれば、あらゆる角度からの事実が
報告されるので、正しい判断を下せるというわけだ。・・・IBMの開発部門で学んだことは
、悪いニュースの隠しかただった。・・・最後の最後になって悪いニュースを知らせる。
・・・これでは悲惨な結末になる。・・・当社は「手持ちの札を見せ合う」方式をとっており、
とても風通しがよい。ワードの開発者のひとりから「この部分がおかしくなっている」などと
伝える電子メールが送られてくるし、意見を交換するのが裏切り行為だとは考えられていない。
(メープルズ)
メープルズによる開発プロセスの基本原則
1.自分のスケジュールは自分で立てる。
2.プロジェクトには予見できない遅れがつきものだとの前提に立って、
スケジュールに予備期間を組み込む。
3.仕様書は変更されるものと考え、最初から完璧な仕様書を書こうと
して時間を無駄にするようなことはしない。
4.中間目標を設定し、とくに難しい部分からはじめる。
5.技術でもプロセスでもなく、ユーザーの問題に焦点をあてる。
6.社員を移動させ、よい部分と悪い部分がまじりあうようにする。
わたしのグループにはいくつかのルールがあり、それをまもるようにしている。第1に、グループ
のメンバは全員、コードのある部分を担当しており、管理だけを仕事にしている人間はいない。
・・・管理だけをやっていると、目標を見失うようになり、問題を察知できず・・・すばやい対応
がとれなくなる。・・・わたしの場合、勤務時間のたぶん50パーセントは問題の解決と
コーディングにあてている。
(ペラゾーリ NT3.0のソフト工学責任者)
頭のにぶい連中が大勢いて、管理者がたくさんの規則をつくって社員を管理している企業とは違う。
当社では、優秀な人材が大勢いて、だれもが正しいことをしようと必死になっている。・・・社員
の頭数だけをそろえ、たくさんの規則をつくってその埋め合わせをしようとする愚かな企業もある。
それで問題の一部は解決するかもしれないが、規則がないことが問題の根源なのではない。たくさ
んの規則をつくらなければ仕事ができない者をやとっていることこそが問題なのだ。
(クリス・ピーターズ)
規則をきらったり、規則をひつようとしない人材の雇用には欠点もある。こうした人材は、手痛い
失敗を通じてしか学べないことが多い。われわれの印象として、マイクロソフトの開発者とテスト
担当者は、一部に例外はあるものの、ソフトウエア工学に関する論文をあまり読まず、先駆者と
解決策を再発見し、他社がはるかまえから重要と考えていた効率的なソフト開発方法に、何年も
たってようやく気づくことが多い。
第2章 創造性と技術力のある社員の管理
全体的に見ると、マイクロソフトでは開発者一人につきテスト担当者一人がついている勘定になる。
全社で約4100人の開発スタッフ(プログラム管理者、製品計画担当者を含む)のうち、1850人が
テスト担当者である。(これに対して、大型ソフトを開発している日本や米国の企業で、開発
スタッフのうちテスト担当者の比率は、高くても10から15パーセントであり、通常はこれよりはるか
に低い。ただし、ロータスではマイクロソフトに匹敵する高さだ。)
第3章 製品と標準の競争
第4章 製品と開発プロセスの決定
これが、回転の速い消費者向けソフト開発の特異な点だと思う。開発中、すべての作業を平行して
進める。仕様書がある程度できたら、おおまかなスケジュールで作業を始め、作業を進めながら
仕様書に磨きをかけ、スケジュールを調整し、テストの方法も同時に変更していく。しかし、すべて
をできるだけはやく、確実に先へ進めている。一瞬も止まらない。
(クリス・ピーターズ)
同社のチームは、まず、ユーザーのニーズを理解し、そのニーズから個々の機能を組み立てる。
次に、これらの機能の優先順位を決め、開発プロジェクトを3から4段階の中間目標サイクルに分けた
サブプロジェクトに機能を割り当てる。また、仕様書と製品開発の創造性を高めるため、管理者は
プロジェクトの資源を「固定」する、つまり、プロジェクトにつぎ込む人数と時間を制限するように
している。こうして固定された資源は、製品開発スケジュールを決める主要な要因になる。
開発と安定化の機関のうち、通常は約3分の2を開発段階に、3分の1を安定化段階に当てる。オフィス
製品部門担当副社長のクリス・ピーターズは、一般的なスケジュール管理方針について、
「スケジュール全体の中で、機能を開発する時間は半分で、後の半分はデバッグと予見できない事態に
備えておくのが通常だ。つまり、2年間のプロジェクトを始めるなら、1年間の予測を作成する。・・・
計画通り進まなければ、重要度が低いと思われる機能を削除する」と語る。この中間目標プロセスに
よって、管理者は製品の進捗状況を十分に把握でき、開発サイクル後期に、柔軟に機能を取捨選択
できる。
中間目標は、エクセルで始めて採用したものだ。今では、他のグループも全て使っていると思う。
・・・要するに、プロジェクトを3段階ぐらいに分け、・・・各段階が終わった時点で、製品を
出荷すると想定する。
(ピーターズ)
我々のグループでは、開発期間を3段階の中間目標に分けている。中間目標の期間は、6週間のことも
あるし、10週間のこともある。・・・中間目標時点の目標は、それまでに開発した機能を全て完成し、
・・・そのリリースのバグをなくすことだ。そして、そのリリースが「出荷レベルの品質」に達した
時点で、次の中間目標期間に移行する。この方法の最大の利点は、プロジェクトが完全な混乱状態に
なるのを防ぐことだ。つまり何千ものバグが残り、いつ完成するのか分からない状況になるのを防ぐ
ことだ。(マイク・コンテ)
コードの完成は、30から40人のプロジェクトでは判断しにくい。たとえば、一つのバグの処理に3日も
かかったとすれば、実際にはコードを書いているのだ。コードはまだ完成していない。・・・
プロジェクトの完成を急ぐと、バグの数は増えていく。次に、数時間で処理できるような本当のバグの
処理へと移行すると、バグの数は毎日減るようになり、出荷にこぎつける。こうなれば、バグは
はっきりと減少しはじめる。そうなったら、コードの完成だと分かる。・・・これはごまかしようが
ない。(ピーターズ)
開発者が深く考えずに「1週間かかる」といっただけで、1週間のスケジュールを組んでしまうことが
多すぎる。そこで、作用の規模をつかみ、スケジュールに予備期間を組み込むには、どのような質問を
すればいいのかを考えてきた。以前は、スケジュールに予備期間を組み込まない人が多かった。ソフト
の開発を始めてまもなく、予備期間を組み込んだスケジュールを社長に提出すると、「なんだ、釣りに
でも行く気か。この予備期間に何をするつもりだ」といわれたことがある。「経験から行って、多分
バグを処理するために必要です」と答えると、「そんなあいまいな話ではなく、具体的に何をするのか
話してみろ」といわれた。そこで「具体的に何をするのか、分かっていないから予備期間としています。
とにかく必要なので信用してください」と答えた。古いタイプの管理者にとってスケジュールに予備
期間をいれるのは常識はずれなので、開発責任者が出したスケジュールから、予備期間が消されること
も多い。「これではだめだ、もっと短縮しよう。出荷する必要がある。予備期間を減らせばいい」。
そうなると、スケジュールは非現実的になる。何に必要になるのかはわからないが、何度も何度も、
必要性を思い知らされてきた。バグを処理するためかもしれないし、途中で何か思い付いて「この機能
は是非追加するべきだ」ということになるかもしれない。・・・だから2ヶ月あるなら、1ヶ月は予備
期間にすべきだ。予備期間を50パーセントにすると、ちょうどよい。その理由はうまく説明できないが
・・・。
(ブラッド・シルバーバーグ)
経験からいって、開発者には自分のかいたコードを動くようにする責任がある。・・・最初は混乱して
いるようにみえるが、最後には、各自がどうすればいいのかを分かっている。そこで短い期間を取る
ことにした。この期間を「中間目標0」と呼ぶようにしている。これは製品のあるバージョンが完成
してから、次のバージョンのコーディングが正式に始まるまでの間で、開発者がわかっているまちがい
をあらいだし、一掃する期間だ。
(ジョン・デ・バーン)
例えば、エクセル4.0から5.0の間に、開発者は1から2ヶ月かけて、このような修正を行った。
機能を開発する詳細な過程や取捨選択は、事前には分からないことが多いため、プログラム管理者は、
仕様書の各部を意識して不完全にしておく。プロジェクトが進むと、機能の動き、開発方法の選択、
パフォーマンスとの兼ね合いについて、開発者が更に詳しい情報を提供する。クリス・ピーターズは、
適切な機能を決めるには、直接ソースコードを見る必要があると強調する。
機能を正しく扱うには、コードを見て、コードの中で技術的に取捨選択を考える必要がある。また、
我々が開発している機能はきわめて複雑なので、実際に動かしてみなければ、その機能がどのように
なるのか、正確には分からない。IBMには頭のきれる人間がいないから、仕様書どおりにコードを
書いていた。おそろしい話だ。仕様がどのようになるのかを理解し、変更し、完璧にする、つまり、
ユーザーのニーズに合ったものにする必要がある。(ピーターズ)
1週間以上かかる作業と見積もった場合、開発者が十分考えていないとみて、ほぼ間違いない。半日
以下の作業と見積もった場合、・・・考えすぎている。プログラミングの時間を増やし、考える時間は
減らすべきだ。たとえば、何かの作業にどれぐらいかかるかと開発者にたずねると、相手は1ヶ月と
答える。1ヶ月というのは、無限の時間と同じだ。そこで、「1ヶ月には22日ある。この22日間に作業
することを、22個あげてみろ」というと、「そうだな、やっぱり2ヶ月くらいかな」と答える。それを
22個の作業に分けているうちに、「ああ、思っていたよりずっと大変だ」とわかる。そこで、通常は、
3日以内の作業にまで細分化するようにしている。
出荷日を確定しようとするのは、出荷日が未確定だと行われない創造や厳しい決定を、行わざるをえな
くなるからだ。「機能は30個にしようか、20個にしようか」と考える。出荷日が決まっていなければ、
いつも答えは30個だ。「大きくて複雑な製品にしようか、中ぐらいの製品にしようか、小さくて機能の
少ない製品にしようか、」「よし、複雑な製品にしよう。出荷日は変えればいい。」・・・そこで、
ふつうは出荷日を確定し、製品の利用価値の8割をもたらす2割の中心機能を考えるようにする。・・・
問題はアイデアの不足ではない。アイデアが多すぎることだ。アイデアの中で特に重要なものを見つけ
るための規律を、どうやって作り出すかだ。
(ピーターズ)
トム・ピーターズのマニフェスト(3) タレント魂
著 トム・ピーターズ
翻訳 宮本 喜一
出版社/レーベル ランダムハウス講談社
出版日 2005-12-18
★★★★★
あなたは自らの人生のストーリーテラー。
自分ならではの伝説を作り出せるかどうかは、あなた次第。
-----小説家 イサベル・アジェンデ
差をつけろ、できなければ絶滅だ
(DISTINCT OR EXTINCT.)
”そんなもんだ”にノーと言え。
”十分な出来だ”に思い切り蹴りを入れよう。凡庸な成功には罰を与えよう。
怠慢を捨て自慢を手に入れろ。
どんなプロジェクトの場合にも、それを自慢するための権利を手に入れる方法だと考えて仕事をしよう。”気楽に行こう”は忘れよう。”自分の仕事を自慢しろ!”
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテは言う。「ある人が覚悟を決める前には、躊躇がある。つまり腰を引いてしまうことがある。最初にとりかかる(そして創造のための)行動のすべてに関して、本質的な事実がひとつある。これを無視すれば、無数のアイデアやすばらしい企画の息の根がとまってしまう。それは、人が必死になるとき、自然の摂理も動くという事実だ。あらゆるものは、それが支えなければ生まれないはずのものを支えるために生まれる。自分に何ができても、あるいはどんな夢を見られるにしても、とにかくそれを始めよう。大胆さには、本来、天賦の才、力、そして魔力が備わっている。今こそ、それを発揮させよう」
チャーチルの言。「成功とは、情熱を全く失わずに失敗を重ねられる能力のことだ」
私の大好きな飛んでるアイデアは、「失敗するだろうということに手を出せ、周りの人全員を間違いなく成功すると説得しろ」。
私はどんな危険を冒しても、飛んでる思考法はたったひとつの成功間違いなしの戦略だと訴えたい。「絶え間ない個人の再生」と「急激な組織的なイノベーション」のための戦略だ。
飛んでる働き方をしろ。
成功の源泉は「タレント」にある、そして「タレント」の源泉は「すごい」と「飛んでる」というふたつの軸に沿って仕事をすることにある、ということを、日々思い起こそう。
トム・ピーターズのマニフェスト(2) リーダーシップ魂
著 トム・ピーターズ
翻訳 宮本 喜一
出版社/レーベル ランダムハウス講談社
出版日 2005-09-10
★★★★★
1 リーダーシップの真髄50
リーダーは「わからない」という。
忘れるな。これは「穏やか」ではない、典型的な「厳しい」経営の考え方だ。「私にはわからない」の本当の意味は、「われわれは未知への冒険をしている。君の仕事は『命令にしたがう』ことではない。何かを考え出せ。形にしろ。絶対に手ぶらで帰ってくるな」。
リーダーはビジョンの持ち主だ。
「リーダーは希望の商人」元高級官僚のJ・ガードナーはナポレオンの金言に忠実だ。曰く「リーダーの第一の義務は、希望の火を燃やし続けることだ」。
雇用の効用
「あなたがどれほど偉大であるかは、自分より優秀な人間をどれほど意欲的に雇うかでわかる」
リーダーは矛盾を糧に成長する。
ハーバード・ビジネススクールで学んだことは忘れよう。イリノイ大学のビジネスカレッジ、スタンフォード・ビジネススクール、そしてウォートン・ビジネススクールで学んだことも。経営は科学ではない!経営は、それに取り組むときはいつも、芸術だ。
経営はある種の・・・・・・芸術。矛盾の芸術だ。
リーダーは混乱状態が大好きだ。
本物の偉大なリーダーシップの定義とは?それは「恐れていた事態が起こった」とき最高に燃えるリーダーのことだ。
常に「撃て!」
1965〜80年:戦略的計画の時代。その時代のモットー:「構え、狙え、撃て」
1980〜95年:世界的競争激化の時代。新しいモットー:「構え、撃て!狙え」
1995〜??:非連続的変化の時代。この時代のモットー:「撃て!撃て!撃て!」
クールな友人、スティーブ・ファーバー
「あなたのしていることが大好きな人たちに奉仕するにあたって、あなたの大好きなことをすること。」
2 ボスの仕事 ヒーロー、デモ、ストーリー
命令からの脱却:「ボス」にならない方法
あれこれ指示する管理、こと細かな計画による経営、といった昔からの習慣と縁を切るのは信じられないほど難しいことがある。マネージャーの間にしつこく残っている、高圧的な命令の出し方の習慣を考えてみよう。次のような命令の仕方だ。
「もっと起業家精神を発揮しろ」
「リスクを負え」
「欠陥ゼロ運動を浸透させろ」
「部下に権限を委譲しろ」
あほ。
あほ。
あほ。
「最高のストーリーが勝つ」
「法律家の駆け出し時代、私は、最高のストーリーを語る者が勝つことを学んだ。君のストーリーを教えてくれ」
究極の”すごい”プロジェクト?(連邦政府の場合)
「失敗したことを見つけて、それを修復しようとする人もいる。私は逆に成功したことを見つけて、それを足がかりにする」
4 ボスの第一の仕事 25の才能
8.評価作業を真剣に考える。
私はソフトウェア企業の”できる”経営者と仕事をしたことがある。聞けば、100日間部下の評価作業に没頭するという(100日だ!)。ひとりに2日、年に2回、直属の部下25人が対象だ。2日のうち1日はデータの収集にあて、2日目はまる1日かけて、社外で部下と1対1の評価作業をする。
私は100日という数字に驚いた。この経営者は反対に、私が驚いたことに驚いていた。「人を育てる以上に重要なことがあるでしょうか。仕事をするのは私ではなく、他でもない社員ですよ」
11.トレーニング!トレーニング!トレーニング!
ASTD(全米人材開発協会)での講演の準備をしているとき、私は平均的アメリカ人労働者が学習の場にいる時間の年平均の数字を記録したデータを見つけた。その時間、26.3時間。
26.3
長い長い長い人生で、これほど不愉快きわまる数字に出くわしたことはない。。
”あのことば”について考えてみよう。つまり「才能」についてだ。
次のような人の場合、年に26.3時間のトレーニング時間を想像できるか?
プリマドンナ、バイオリニスト、スプリンター、ゴルファー、パイロット、兵士、外科医、宇宙飛行士。
もちろん、想像できないはずだ。
それはなぜだ?
プリマドンナが、バイオリニスト、スプリンター、ゴルファー、パイロット、兵士、外科医、宇宙飛行士が、長い時間をかけてトレーニングするのに、なぜ”ビジネスパーソン”だけが必要ないと思うのか?
金を使う。
才能の主が働いているところには、金を注ぎ込め。給与体系を見直して、間違ったところで節約していないか確かめる。マントラ「適切な報酬が支払われる仕事は、適切に達成される」
トム・ピーターズのマニフェスト(1) デザイン魂
著 トム・ピーターズ
翻訳 宮本 喜一
出版社/レーベル ランダムハウス講談社
出版日 2005-09-10
トム・ピーターズによれば、大規模な雇用縮小の不安を克服する方法は、自分と会社の両方をバリューチェーンの高みに引き上げ、ニューエコノミーの核心部に飛び込む方法を見つけること。
その核心を突く新シリーズ、マニフェストの4冊。
- リーダーシップ
- デザイン
- 才能
- トレンド
現在、日本では、リーダーシップ魂とデザイン魂というタイトルで刊行されています。
ページのデザイン、フォント、写真、色彩、全てに凝ったハードカバー、フルカラーの160Pの小冊子です。
その「デザイン魂」から。
- デザイン 新時代の企業の「魂」
- 「美しさや優雅さへの熱い思いが、コンピュータ時代の歴史における最も重要な発見を裏づけてみせた・・・論理的立証や機械の美しさは、簡潔さと才能の幸せな結婚に宿る・・・美しさは複雑さに対抗する最高の防衛手段・・・できるプログラマーは、凡百のプログラマーよりも百倍生産性が高い・・・この差は、技術、数学、あるいは設計の教育トレーニングとはほとんど関係がない。大いに関係があるのは、眼識、優れた見識、持って生まれた美意識だ」デビッド・ゲランター。
- 「美しさや優雅さへの熱い思いが、コンピュータ時代の歴史における最も重要な発見を裏づけてみせた・・・論理的立証や機械の美しさは、簡潔さと才能の幸せな結婚に宿る・・・美しさは複雑さに対抗する最高の防衛手段・・・できるプログラマーは、凡百のプログラマーよりも百倍生産性が高い・・・この差は、技術、数学、あるいは設計の教育トレーニングとはほとんど関係がない。大いに関係があるのは、眼識、優れた見識、持って生まれた美意識だ」デビッド・ゲランター。
- デザインの効用 美しいシステム
- 「何年も前に、ウォルマートは社員コンテストを始めた。あらゆる種類の賞品や景品を山のように積み上げた。その目的は、社員の全員が参加して『自分たちが社内で行っている最もバカげた行為』を見つけ出すことだった。
率直に言えば、この方が”社内提案"システムよりもはるかによいと思う。社内提案システムは、結局(役に立たない)ものの足し算だ。反対に、この制度は引き算にあくまでこだわっている。」
- 「何年も前に、ウォルマートは社員コンテストを始めた。あらゆる種類の賞品や景品を山のように積み上げた。その目的は、社員の全員が参加して『自分たちが社内で行っている最もバカげた行為』を見つけ出すことだった。
- 行動するデザイン 忘れられない経験を与えてくれる
- 経験の一歩先 「夢ビジネス」をものにする。
- かくありたい!
私が想像するのは・・・
かなえられるようになる(それ以上になる)”見果てぬ”夢。
”欠陥ゼロ”の麻薬を排除するだけの「勇気」を持った企業。
”製品”や”サービス”(さえないことばだ、そのうち使う必要もなくなるだろう)の、はるかに、はるかに上を行く、価値の創出。
- 次のブイトーニの言葉を注意深く噛みしめよう。
「夢とは、顧客の人生における完成された瞬間のことだ。顧客に自分の相当な財産を注ぎ込んでもよいという気持ちにさせる、そんな大切な経験のことだ。消費者の欲求の核心。顧客をその本人のなりたいものにしてくれる、そんな機会のことだ」
- 夢のきわみ
本書の卓越したメッセージ。機能にこだわる姿勢は、機能障害を招く。たいていのものは、”機能する”ものだ。全く問題ない。だから問題はこうなる。この”うまく機能する”を超越するものは何か?
興奮。これだ。
驚嘆。これだ。
不可能だと考えられているもの。これだ。
私の主張(繰り返す)。自ら目標のバーを高く上げろ。「もっと上、もっともっと上だ」
デザインを考えよう。あの”美しいシステム”を考えよう。
”製品”そして”サービス”を切り捨てよう。
その代わりにこだわるのは、”経験”だ。”夢”だ。
- 夢を測る尺度:”欠陥ゼロ”の(はるか)先へ
- 「一目惚れ」
- 「五感に訴えかけるデザイン」
- 「『大きな夢』を広げてくれる進歩」
- 「何となく気配でその気にさせるデザイン」
- 「一目惚れ」
- 情熱は情熱を呼ぶ。
総天然色テクニカラー的ことばは、テクニカラー的反応を呼ぶ。
- かくありたい!
- デザインの頂点 心からわき出るブランディング
- われわれは”ブランド”を、企業や製品あるいはサービスの”外面のイメージ”としてとらえることにこだわっている。
●違う。われわれは、ブランディングとは企業の心に真っ直ぐ突き刺さる(そしてその心から真っ直ぐ飛び出してくるもの)ものだということを、学ばねばならない。
●結論。効果的なブランディングとは、外面的というよりも、ずっとずっと内面的なものだ。
- この紅茶共和国のふたり組みは続ける。「わが国の自由で解放的な移民政策によって、コーヒー狂いの生活の暴虐から逃れ、そのコーヒー生活が原因の、疲労困憊型ハイペース居場所確保レース的存在から足を洗いたいという人を、すべて喜んで受け入れる。この小国でわれわれは、コーヒーとは、本来速さと視界不良の象徴であり、一方、紅茶は遅い速度と視界良好の象徴だということを学んできた。紅茶は単なる飲み物ではないからこそ、飲む人の意識を変え、人生の機微に触れたり楽しんだりする余裕を与えてくれるわけだ」
そんなことはナンセンスの塊だと思う人もいるかもしれない。私の考えは逆だ。これは金の塊ではないか。
私の要点。”紅茶共和国の主張”こそが、ブランディングの核心をついている。つまり”ブランドのお約束の本質”だ。人々がこだわること。大事なこと。共感すること。
- 「ブランディングはマーケティングと同じだと解釈している企業もある。目にも鮮やかな新しいロゴをデザインし、派手なマーケティングキャンペーンを展開すれば、ほら一丁上がり、また元の成長軌道に戻れるぞ。それは間違いだ。ブランディングはもっと、もっと大仕事だ。その本質は企業がその潜在能力を最大限に発揮することだ。新しいロゴではない。」
- 「自分自身の人生における使命は何か? 周りの人たちに何を伝えたいのか? 自分が世の中に与えるものが、実際に自分ならではのものかどうかを確認する手段は? ブランドはそのもてる力を最大限発揮しなければならない。企業は企業の力を、そして経営者は経営者自身の持てる力を。はっきり言えば、それは、あなた自身が世界で唯一の存在になりたいか(なりたくないか)どうかの問題だ」
イェスパー・クンデ
- 「ファンキー村では、現実の競争の対象はもはやマーケットのシェアではなくなっている。われわれの競争の対象は、人の関心だ。つまり、気持ちのシェア、そして心のシェアだ」シェル・ノードストレム ヨーナス・リッデルストラレ
- 「アップルは反抗し、IBMは答えを出し、ナイキは熱く語り、ヴァージンは啓発し、ソニーは夢を見て、ベネトンは抵抗する。つまり、ブランドとは名詞ではなく、動詞だ。」ジャン=マリー=ドルー
- それは単純な話だ。
それは不可能だ。
そのためには全身全霊を傾けなければならない。
そのテーマは・・・
われわれは何者なのか?
われわれの目的は何か?
どのようにユニークなのか?
どうすれば圧倒的な違いを生み出せるのか?
誰が気にしてくれるのか?(われわれは気にしているか?)
- 心からわき出るブランディング
「本物の」ブランディングとは、ひとりひとりのものだ。「本物の」ブランディングとは、誠実さだ。「本物の」ブランディングとは、記憶に刻まれるものだ。「本物の」ブランディングとは、偉大なストーリーだ。「本物の」ブランディングとは(社員にとって、顧客にとって、サプライヤにとって)大いにかかわりのあることだ。「本物の」ブランディングとは、情熱と感情だ。「本物の」ブランディングとは、われわれが朝、ベッドから起き出す理由だ。「本物の」ブランディングとは、決してごまかしのきかないものだ。「本物の」ブランディングとは、年中無休で、全部署をあげて、全員が取り組むことだ。
- われわれは”ブランド”を、企業や製品あるいはサービスの”外面のイメージ”としてとらえることにこだわっている。
「はじめの一歩を踏み出そう」
何故ほとんどのスモールビジネスはうまくいかないのか?うまくいくために何をなすべきか?
世界文化社(2003)
ビジネス
マイケル・E・ガーバー
★★★★☆
All Aboutのフリーランスの塚田裕子さんも五つ星をつけていました。
スモールビジネスをはじめた人にとって、とても刺激的な本です。
私もショックを受け、方向転換を迫られています。でもそれがより楽しいことのように感じています。
第一のショックは、
『致命的な仮説:「事業の中心となる専門的な能力があれば、事業を経営する能力は十分に備わっている」』
が、間違いであること。
人の中には、
「起業家」未来の世界に住む革新者、戦略家
「マネジャー」過去に住む管理が得意な現実主義者
「職人」現在に生きる、手に職をもった個人主義者
の3つの人格があって、職人は決して主導権を持つべきではない。
起業家の視点と職人の視点との違いは
・起業家は「事業が成功するにはどうするべきか?」を考え、職人は「何の仕事をするべきか?」を考えている。
・起業家にとって、会社とは顧客に価値を提供する場所である。その結果、利益がもたらされる。職人にとって、会社とは自己満足のために好きな仕事をする場所である。その結果として、収入がもたらされる。
・起業家は自分の描く将来像から逆算して現在の自分の姿を決めるが、職人は現在の自分を基準に将来の自分の姿を決めてしまう。
これも結構ショックでした。でも本当に自己満足のために仕事をしていたかも・・・。
続いて成功へのカギですが、
「事業のパッケージ化」収益を生み出す事業を定型化して、パッケージにする。
「商品」の代わりに「事業」を売る
誰が始めても失敗しないような事業モデルを作る
そこで事業については、
他の人に任せてもうまくいくような事業をつくろう。
どこでも誰でも、同じ結果が出せるような事業の試作モデルをつくるところからはじめよう。
事業とは、あなたとは別の独立した存在だ。それはあなたの努力の成果であり、特定の顧客のニーズを満たす機会であり、あなたの人生をより豊かにする手段である。
事業とは、多くの部品から構成されたシステムであり、ライバルとは明確に差別化されたものであり、顧客の問題を解決するものである。
事業発展プログラム
(1)イノベーション(革新) 創造との違いは実行するかどうか。レイ・クロックはイノベーションの対象を商品ではなく、その売り方であると考えた。
(2)数値化 イノベーションの効果を測定するための数値の把握
(3)マニュアル化 商品やサービスの質を安定させるため。現場レベルの裁量の自由を否定。
7つのステップ
(1)事業の究極の目標を設定する
(2)戦略的目標を設定する 基準----売上、取り組む価値はあるのか?等。
(3)組織戦略を考える 個人に依存した組織には限界がある----仕事の役割分担を明確にする(組織図を作る)
(4)マネジメント戦略を考える 管理システムがポイント
(5)人材戦略を考える 事業とはゲームである----自分でもやりたくないゲームを従業員に押し付けてはいけない----ゲームは長い間、楽しめなければならない----ゲームに意味を与える
(6)マーケティング戦略を考える 顧客の属性分析と心理分析
(7)システム戦略を考える ハードシステム、ソフトシステム(例えば販売管理システム)、情報システム
他に心に残った言葉として、
「オーナーは、事業とは自分を鍛錬する道場のようなものだと考えています。道場での戦いは、敵との戦いではなく、自分自身との内面的な戦いなのです」
「道場とは、宇宙の縮図である。私たちは道場で、自分自身と向き合うことになる。道場とは、閉ざされた戦いの空間である。しかし、対戦相手を敵と考えてはいけない。対戦相手は自分を理解するためのパートナーなのである。道場とは、己を知り、人生の難題への対処方法を学ぶ場である。武道で身に付けた集中力と自制心は日常生活にも生かせるのだ。また道場では、絶えず新しい試みが求められる。それゆえ、道場は学習の場でもある。禅の世界では、これを自己啓発の源と呼んでいる。」
「聞いたことは忘れてしまうが、見たものは記憶に残る。しかし、自ら実践しないかぎりは、何も理解することはできない。」
「買いたい心」に火をつけろ!
顧客が本当に欲しいものは何か
ダイヤモンド社(2004)
ビジネス
ハリー・ベックウィス
★★★★
顧客を引きつけるための法則集。各法則は、1文か2文からなり、1ページから2ページの解説がついている。
「ビジネスの発火点を探せ」「コミュニケーションはすっきりと」「魅力的なメッセージで語れ」「『刺さる』ブランドで勝負!」「絆を深めるサービスとは?」「顧客に愛される秘訣とは?」の6章からなる。どんな業種であっても、どこから読んでも役に立つと思います。
・「『顧客のハートに火をつけるには、どうすればよいか』と、常に質問し続けよう。自分の胸に、何度も、いつでも。」
・「いつも『わが社を潰しにかかるには、どうすればよいか』を自問しよう」
・「リサーチなど信用しないことだ・顧客のハートに火をつける方法を、リサーチが教えてくれるはずがない。」
・「価格を売るのは最後の最後」
・「専門分野を見きわめよう。ブランドがとんがる狭い一点を。」
・「時間が鍵、顧客に対し、手間暇かけよう。」
・「3、24、5、魔法の数字だ。しっかり励もう。」(最初の3秒の印象、顧客に接触した後の24時間以内のフォロー、顧客訪問の5日後の礼状)
・「『貸しすぎ』よう」
スモールビジネス マネジメント
大企業なんかに負けないための超実践的ガイドブック
翔泳社(2001)
ビジネス
デブラ・クーンツ・トラベルソ
★★★★★
スランプになると読み返す本があります。デブラ・クーンツ・トラベルソの「スモールビジネス マネジメント」(翔泳社)です。
スモールビジネスが大企業と渡り合うための、細部にこだわった、いくらか裏技的な内容の本です。
会社名(屋号)の決め方から、立地条件、パートナーの選び方、人脈の作り方から電話のかけ方まで多岐にわたります。
例えば電話については、
「こと電話と周辺機器、それにまつわるサービスに関しては、お金に糸目をつけてはならない。できる限りベストの(そして、一般的にいって最も高価な)システムやサービスを手に入れよう。」と、言い、
大企業と渡り合うための裏技的なものが多いのですが、例えば一人しかいなくても総合受付のメッセージを作る(総合受付は1のボタンを、担当者がお分かりの場合には担当者氏名の最初の文字を押してください)、とかバックグランドにオフィスの効果音を流すとか・・・、といった具合です。
ただしビジネス内容については、読者がユニークなサービス・商品を持っていることが前提となっていて著者は教えてくれません。ただしニッチを見つけるヒントはくれます。
全て著者と知人の経験に基づいたもので理論的なものではありません。ちりばめられた経験談は日本とは事情が違うかもしれませんが、説得力があり、元気付けられるものばかりです。
何回読んでも得るところがあり、読むたびに初心に帰らされる本です。私はSOHOを始める人に1冊だけ勧めるとしたら、この本を薦めます。
最後にデブラはこう言って締めくくります。
「でっかい相手をぶっ飛ばそうとするあなたの努力に幸いあれ。」
知能販のプロになれ!
おしゃれな経理部、燃える総務部・・・・・・きらめくプロ集団になれ!
TBSブリタニカ(2000)
ビジネス
トム・ピーターズ
★★★★★
トム・ピーターズの挑発シリーズ第3弾。「あの仕事は、あの人しかいない」といわれるように自分をブランドにし、「すごい」ことがわかるお客さんといっしょに、全ての仕事を、「すごい」プロジェクトに変えよう!
・「うちの会社がやっていることは2つしかない。お客さんに尽くすこと、人材を育てること、その2つだけだ」デービッド・オグルビー
・国防総省に勤めていたころ、私は報告書の書式を変える仕事を仰せつかった(ちなみに、それは殆ど誰も読まない報告書だった)。その(つまらない)仕事を真剣にやってみようと思い、その仕事に全力投球した。一年後、数多くの野外演習が、基本的に、私が書式を変えた報告書によって査定されることになった。教訓一、つまらない報告書の書式変更が、すごいプロジェクトになった。教訓二、精魂を込めれば、すごいプロジェクトにならないものはない。どんなつまらない仕事も、やり方次第でものすごいインパクトをもつ。
・「小さい役はない。あるのは、小さい役者だけ」
・購買部だろうがナニ部だろうが、ナイキやマッキンッゼーやアーサーアンダーセンに負けないくらい、カッコよくなるべきである。カッコよくなって、なぜいけない?
・プロというのは、素人にはできない芸当をやり、署名入りの仕事をし、自分のポジションを意識し、自分らしさ(アイデンティティー)を失わないことだ。
・どれだけ型破りの仕事をやったか。クレージーな時代に、どれだけクレージーなことをやったか。それが問題だ。時代の要請に応えられない「無難なプロ仕事」を、私はなによりも軽蔑している。無難にやるか、あぶないことをやるか、それが私の価値判断基準である。すべてにして、肝心かなめのもの、それは挑発だ!
・何も学ばずに日々を過ごせるほど、人生は長くない。
1.誰もかれもが、何かで有名になろう。「あの仕事は、あの人しかいない」と言われるようになろう。
2.プロである以上、自分の名前がブランドである(少なくとも、ブランドになる過程にある)。
3.自分は個人事業主であり(たった一人の企業のCEOであり)、いまはたまたま○○部に頼まれて仕事をしていると考えよう。
4.全員がリニューアルに本気で取り組まざるをえないように、人間として、プロとして、日々成長したいと言う強い願望を持ち、リニューアルが強迫観念になるように、プレッシャーをかけよう。
・ホワイトカラー革命で、無芸徒食の「労働者」は粛清され、一芸に秀でたプロフェッショナルには「我が世の春」が来る。人事部や情報システム部や総務部で、憂き世の勤めをする人たちの中には「そんなことは初耳だ」といって驚く人もいるかもしれないが、コックや大学教授や俳優や歌手や医師やフットボール選手や庭師に聞いてみれば、「なにをいまさら」といって一蹴されるだろう。もう、会社人間に出番はない。サラリーマン根性を捨てよう。
セクシープロジェクトで差をつけろ!
つまらない仕事を、ものすごいプロジェクトに変える50項目
TBSブリタニカ(2000)
ビジネス
トム・ピーターズ
★★★★★
トム・ピーターズのシリーズ第2弾。原題は「全ての仕事を、すごいプロジェクトに変える50の方法!」。
・人事部長は、社員を一人前のプロに育て上げる責任がある。その責任をまっとうするならば、その人事部長は、デンバー・ブロンコスのQB、ジョン・エルウェイよりもカッコいい。
・シリコンバレーはなぜ、ここまで栄えたのか。それは、シリコンバレーにシラケ鳥は飛んでいないからだ。多くの「従業員」が、使命感に燃え、自分が作る製品を心から愛し、世界を変えるプロジェクトに夢中になっているからだ(決してストックオプションのためではない)。
・「すごい」という言葉自体にすごいパワーがある。、「しかし、この程度のすごさでいいんだろうか」「どんなことをやれば”すごい”といってもらえますか」
・フォーチュン誌のアンケート調査の結果、リスクを最小限に抑え、命令系統を尊重し、上司の顔色をうかがい、予算を重視するするのが、尊敬されない企業に共通した特徴だという。
・小さな問題はない。背後に大きな問題が隠れている。例えば残業規定の改訂の仕事は企業文化を変えるという大きな仕事の第一歩である。
・小さなプロジェクトにも企業のDNAが組み込まれている。ビッグ・プロジェクトのほうが成功する確率は低い。小さなプロジェクトなら、警報を鳴らすことなく、大きな改革を進めやすい。
・成功するものは、つまらない仕事に目を輝かせる。つまらない仕事は、かなり自由がきくからだ。誰も気にしない。誰も見ていない。だから、やりたいことができる。自分で直接、手を下せる。間違いを犯せる。危険を冒せる。そして、奇跡を起こせる!
・「権限のない人」は、自分にそんな「自由」は与えられていないと嘆く。これは、自分は「能なし」だといっているに等しい。「自由」はいつもそこにある。ほとんどの人がそれを使おうとしないだけなのだ。
・飢えていると、創造力が研ぎ澄まされる。贅沢が許されないと、大事なことだけに力を集中できる。お金があると、動きが鈍くなり、昼食の時間が長くなり、現場に足を運ばなくなる。
・『プロジェクト管理のエクセレンス』という本を読んでいると、あくびが出てくる。プロジェクト管理とは、これほど眠くなるものなのか。私は、プロジェクト管理とは、胸がどきどきわくわくし、鳥肌が立ち、髪が逆立ち、血が騒ぐ、カッコいいものだと思っている。
・プロジェクトの実行段階では、「試作に狂う」ことほどカッコいいことはない。テスト→フィードバック→修正のサイクルが目が回るほど速く回転していくのが、すごいプロジェクトなのだ。
・「成功にも失敗にも等しく報いる。罰するのは怠慢だけだ」---デービッド・ケリー
・「構えて撃ってから狙え」---ロス・ペロー
・CNNやロッキードで採用された「会議は最長15分ルール」は超おすすめ。15分しかなければ15分で話し合ってしまうもの。
・電光石火の試作は電光石火の失敗を生む。電光石火の失敗は、電光石火の修正をもたらし、電光石火の修正は電光石火の成功をもたらす。大企業のほとんどに、電光石火の失敗も修正も成功もない。
ブランド人になれ!
チャンス到来、大ブレイクせよ!君はグッとくる人になれるか
TBSブリタニカ(2000)
ビジネス
トム・ピーターズ
★★★★★
ホワイトカラーを元気付けるための本だが、とにかく元気付けられモチベーションが上がる。トム・ピーターズはアジテーションが実にうまい。これに味をしめたら「セクシープロジェクトで差をつけろ!」「知能販のプロになれ!」「経営創造」「経営破壊」もどうぞ。くじけそうになったらトム・ピーターズを読もう!
ブランド人とは誰にも頼らず自分の力で生きていける人、ひとめで違いがわかるもの、お客さんの期待を裏切らないもの、人の心を癒すもの、グッとくるもの。ホワイトカラーはブランドになるか、お払い箱になるか、どちらかである。
私の独立を後押ししてくれた本でもあり、最初に読んだ当時を思い出すと胸が熱くなる。仁平和夫氏の訳がまた最高にすばらしい。次の文章に私は感動してしまった。(仕事場に額に入れて飾ってあります)
人間いたるところに青山あり。いたるところにステージあり。
会社は、あなたがすごいことをやる手段であって、その逆ではない。
ブランド人になろうと思えば、仕事はきつくなるだろうか。当たり前さ。会社のために働いていたときよりはるかにきつくなる。
人事部の、総務部の、経理部の中田英寿が誕生して何が悪い。
あなたがいま立っているところ、そこがあなたのステージだ。さあ、力の限りを尽くして、ひとさし舞ってみろ。あなたのステージを、みんなが見ている。誰も見ていなくても、天が見ている。
私が感心したところを要約します。
・これは革命である。ホワイトカラーの9割以上が、今後10年から15年以内に消え失せるか、全く姿を変えるだろう。要するに、自分の才覚だけで生きるしかない。新しい時代とは「ルールのない乱闘」のことだ。
・会社勤めを続けるとしても、個人事業主のように考え、行動しよう。個人事業主の売り物は、自分の実績と自分のプロジェクトしかない。
・自分は何を大切にしているのか。名人芸。人間としての成長。ひととは違うこと。しびれるようなプロジェクト。自主独立。自己管理。
・やってみよう(演習)本日の予定表の中に、すごくないものがあれば、選択肢は次の2つしかない。(1)それをすごいものに変える。(2)予定を白紙に戻す。
・やってみよう。「すげえ」と心の底から叫びたくなるまで、「そこまでやるかあ」とひとに言われるまで、プロジェクトを練り直す。
・いつも同じ人と付き合い、いつも同じ雑誌を読み、いつも同じ会議に出ているようでは、目は見えなくなり、耳も聞こえなくなる。体も頭脳も退化する。ブランドを磨くためには、外界の刺激や衝撃をどこまで受けるかによって決まってくる。
・「よしよし、うまく行っている。このまま同じことを続けて、目先だけちょっと変えればいい。そんなことを考えていると、自分が自分のパロディになってしまう危険がある」キース・オルバーマン
・人はだれしも、心のどこかに陰をもち、悩みを抱え、重荷を背負って生きている。問題は、それをどうコントロールするかだ。人はだれしも、希望と才能と元気を神様から授かっている。問題は、それをどう引き出すかだ。
・問題と争点と行動のいちばん近くにいて、「風雪が皺に刻まれた連中」がいちばん知恵を持っている。ブランド人を目指すなら現場に向かって走れ!
・ブランド人は会社を頼らず、自分の腕を頼りに、輝く個性を頼りに、同志のネットワークを頼りに、プロジェクト(すごいプロジェクト)を頼りに、成長を頼りに、生きる。
・商品(うりもの)なくして、ブランドはなく、マーケティングなくして、ブランドはない。あなたの商品は何か?
まず、ルールを破れ
すぐれたマネージャーはここが違う
日本経済新聞社(2000)
ビジネス
Marcus Buckingham and Curt Coffman
★★★★★
原題はもっと過激で、「まず、全てのルールを破れ」。ギャラップが25年に渡って100万人以上の従業員にインタビューした結果をベースに調査・統計的分析により、結論付けた優秀なマネージャの考え方。説得力のある論旨である。トム・ピーターズのブランド人やワインバーグの触媒の考え方を裏付けている。短所を直そうとするよりも長所を伸ばすことに力をいれるべきだという私の持論も支持してくれた。
印象に残った部分を要約する。
・「働きたいと思う企業ベスト100社」といような調査が行われると、その基準は「福祉施設」「休暇」「利益の分配措置」「従業員教育」等であるが、それらよりもはるかに重要なことは、すぐ上のマネージャがどういう人物か、である。
・人はそんなに変わりようがない。足りないものを植えつけようとして時間を無駄にするな。そのなかにあるものを引き出す努力をしろ。
・一般的な間違った考え方-経験や知識、意志の強さをもとにして人を選び、正しい手順を定めることで、要求を設定し、弱点を克服するよう動機付けをし、昇進できるよう手助けする。
・すぐれたマネジャーは才能で人を選び、成果を適切に定義し、部下の強みを活かすことに専念し、部下の強みに適した場所を探り当てる。
・経験よりも、知識よりも、そして意志の強さよりも、すべての職務で最高の能力を発揮するために不可欠なのが、それに適した才能以外にはない。
・技能と知識の利点は、それが伝達可能なことであり、限界は、教えられた以外の局面でどう行動したらよいかわからない点である。才能に力があるのは状況への応用が効くからだ。
・「唯一最高の方法」の押しつけは、第一に、効果がない。個人一人ひとりが持っている独自の4車線道路(成長期に形成され、特に強化された脳の回路)と戦わなければならない。第二に、人の品位を傷つける。第三に、学習を阻害する。
・失敗を研究したところで優秀さについてたいしたことは学べない。間違った方法をなくすことによって、正しい方法を見つけ出す力が身につくというわけではない。優秀さは失敗の反対ではないからだ。
・「あなたの部下で才能のある人が遅刻の常習犯だとします。その部下にどんな注意をしますか」-答えは「その理由を聞く」
・従業員を生産的な人材に「変える」ことができるマネジャーはいない。マネジャーは触媒だ。つまり従業員の才能と顧客/会社の要求との相互反応を加速させることのできる存在だ。

