ワインバーグのシステム洞察法

4320027078.09.MZZZZZZZ.jpgワインバーグのシステム洞察法
ソフトウェア文化を創る2
共立出版(1996)
ソフトウェア・プロジェクト
Gerald M. Weinberg
★★★★★

ワインバーグの4巻シリーズの2巻目である。ここでは、“1次計測(First-Order Measurement)−ソフトウエア開発で何が起こっているかを観察し観察の意義付けを理解する能力−”がテーマである。
「1次」の意味は、ラフスケッチのようなものである。2次はもっと精密な計測になるが、管理者の日々の問題には焦点を当てていない。「自分が何について話しているのか分からないときに、正確であっても何にもならない。」本書は2次計測を有効に利用できるように支援するものである。
本書はサティアの交流モデルに沿って展開される。これは観察から行動にいたるモデルで、「情報の取り込み」->「意味付け」->「意義付け」->「反応」の流れからなる。「意味」は取り込んだデータにはないものである。また「意義」は「意味」の「意味」であり、私たちの頭脳が扱える大きさに変えるフィルターである。

印象に残った部分を挙げる。

・パターン2(慣習的文化)では、過去の実績統計は変革のために用いられるのではなく、全てがうまくいっていることを証明するために用いられる。
・なぜ観察は重要か-危機の突然さは危機の尺度ではなく、管理者の気づきの尺度である。もし管理者が効果的に観察しつづけていたのであれば−彼らはがっかりさせられたかもしれないが、驚かされはしなかっただろう。
・文化パターンを見分ける方法は、“病気”の処方を観察することである。舵とり(パターン3)組織は病気をうまく扱うほうだが、ときどき同じ症状を繰り返す。組織が健康であること(プロセスレベル)よりもそれぞれの病気を治すこと(製品レベル)に注力するからである。慣習的(パターン2)組織は病気を罪悪のように扱い、人々が症状を隠すのを望むようになり、病気を悪化させる。
・あることが繰り返して起こるとき、それは偶然の出来事であるはずがない。
・慣習的文化(パターン2)では、管理者の非難を免れるための何にも優るこつは気づかないことである。
・あることを監察しているという単なる事実が、開発に使われる努力の大部分を、計測システムを打ち倒すのに注がれる恐れがある。例えば、LM中のビット”1”の割合を増やせという理不尽な指示を出すと、増えた実績があがってくるであろう――。
・製品を可視化する-可視でなければ、制御は不可能であり、制御できなければ、品質を保証することはできない。
・地図と土地とが一致しないとき、つねに土地を信じよ。地図とは測定値に対する複数の像である。ソフトウェアに対する像は地図であり、これは土地そのものではない。
・図表は重要ではない、図表を作ることがすべてだ。
・顧客満足度を計測できるが、 5.0の満足度はよいのか、悪いのか、知ることができるのは、トレンド図の助けを借りて、率が時間的にどのように変わるかである。変化は、管理者がもっと調査すべきだと言う信号である。
・受け取ったものについて少なくとも三つの異なった解釈を思いつかないならば、その意味を十分に考察していないのだ。
・慣習的(パターン2)組織のプログラマのほとんどは、何事も規則どおりだ−という錯覚がもはや維持できなくなるまで−管理者を満足させるために始終罪のないうそを創作する。
・品質さえ気にしなければ、品質以外のどんな要求でも満たすことができる。
・“努力は計算できるものに注がれる。”(デマルコ)。コスト計算はコスト削減を導く。価値計算は価値の増大を導く。コストと価値は異なる。
・Xドルの損失はいつでも財務上の責任がXドルを超える取締役の責任である。
・パターン1と2の組織では誤りが起こったときに、非難と処罰に時間を使い、早期に故障を把握し、予防する手順の確立という管理者の責任から注意を逸らす。
・悪い兵士などいない、いるのは悪い将校だ
・もっとも危険な反応は、危機が実際にどれくらい深刻なものであるかを気づかせるような情報源から自身を切り離すという傾向である。
・官僚主義の尺度は、なぜそれをするのか関係者が理解できないパーセンテージである。
・レビューは、スケジュール効率を改善し、冗長作業を除去し、テストを補い、そして訓練をもたらす。

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このページは、Hiroshiが2007年9月 4日 18:46に書いたブログ記事です。

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