ピーター・ガブリエル
ピーター・ガブリエルとであったのは、学生時代、そのころ当時のロックファンのご多分に漏れず、ELPに心酔していた私は、どういうわけか、ジェネシスの「怪奇音楽骨董箱」と邦題のついた、出たばかりのアルバムを聞いた。第一印象は、ELPと比べて、ずいぶん荒削りの泥臭いロック、というものであったが、その不思議な魅力に魅了されて、二度、三度と聴き込むうちに、いつしかそのメロディーが頭から離れなくなった。また聴くたびに、新たな魅力を発見する、一筋縄ではいけないアルバムであり、それまで聴いてきた、音楽の世界から、全く別の世界に連れて行かれた思いがした。
そのジェネシスで、曲作りとボーカルを担当していたのが、ピーター・ガブリエルだった。
それ以降、心待ちにしたジェネシスの新しいアルバムを聴くたびに、次第に大きくなる期待を裏切らないアルバムの出来に感嘆した。
「眩惑のブロードウェイ」を最後にピーター・ガブリエルがジェネシスを脱退してリリースしたソロ・アルバムを聴いたとき、正直、がっかりした。それまでジェネシスに求めていた、メロディアスな部分、トニー・バンクスのキーボードとそのアレンジの素晴らしさが、感じられなかったからだ。
その後、長いブランクを経て、何かのきっかけでピーター・ガブリエルのIV(「セキュリティ」:"security")を聴いて、驚愕した。こんなに素晴らしい才能の持ち主だったのか、と、それまで、彼のアルバムから遠ざかっていたことを本当に後悔した。特にウォールフラワー("Wallflower")は今でもピーター・ガブリエルの最高傑作であると思っている。
III、IV、SOと前作を上回るような形で、寡作とはいえ、常に新しい、驚くような作品を発表し続けたピーター・ガブリエル。
USでちょっとがっかりしたファンを、ガブリエルはOVOでまた、その素晴らしさに驚かせ、喜ばせた。
ボーカリストとしての魅力はもちろん、ソングライター、アレンジャーとしても超一流、マルチメディアへの進出も積極的、意欲的に新しいものに挑戦していくピーター・ガブリエルのような人をこそ天才と呼ぶのだろう。

